【実家の相続登記】は自分でできる?売却までの費用と手順

相続登記は自分でできる?費用と手順を先に知っておく 実家のテーブルに置いた茶封筒と家の鍵
声

実家を売りたいけど、相続登記って自分でできるの?
司法書士に頼むと高そうで迷ってる…

ふみ

私は親が元気なうちに実家を売ったので登記は不要でした。
そのうえで、自分でやる手順と費用を調べました

相続した実家を売るために、相続登記を自分でやろうか迷っている人は多いはずです。

司法書士に頼めば楽ですが、報酬がかかると思うと、自分でできないものかと考えてしまいますよね。

私は主任ケアマネとして働きながら、西日本の実家を両親の希望で片付けて売った娘です。

実家の相続登記は自分でもできる。登録免許税と戸籍などの費用は実費だけで済むのが魅力!

ただし戸籍集めに時間がかかるので、名義が親の代で止まっていて急がない人に向いています。

相続登記を自分でできるのか、売却までどう進めればいいのかが不安な人は最後まで読んでください。

実家の相続登記の記事はこんな人に読んでほしい。相続した実家を売りたい人、相続登記を自分でしたい人、司法書士の費用を抑えたい人、名義が古いままか不安な人

法務局や役所が公開している情報をもとに、手順と費用、売却までの注意点を順に書いていきます。

目次

相続登記を自分で進める手順と費用

相続登記を自分で進める手順と費用 書類を集めて申請するの2段階 机に重ねたクリアファイルと電卓

相続登記と聞くと難しそうですが、流れは書類を集めることと申請書を出すことの2つに分かれます。

ここでは自分で進めるときの費用、書類、戸籍集め、相談先、申請を5つに分けて書いています。

相続登記を自分でやるとかかる費用と期間

相続登記を自分でする場合、かかるお金は法務局に納める税金と書類の取得代だけになります。

税金は登録免許税といい、家と土地の固定資産税評価額をもとに計算する仕組みになっています。

ふみ

評価額は毎年届く固定資産税の通知書に載っています。
計算のしかたは法務省の資料で確かめましょう。

役所で取る戸籍や住民票にも手数料がかかり、古い戸籍は1通あたりの手数料が高めになっています。

司法書士に頼むと、この実費に加えて報酬がかかり、金額は事務所や相続人の数によって変わります。

項目自分でやる司法書士に頼む
登録免許税かかるかかる
戸籍などの取得代かかるかかる
司法書士の報酬かからないかかる

相続登記を自分でやれば報酬の分がまるごと浮くので、節約できる金額は小さくありません。

かかる期間は戸籍の集まり具合で大きく変わり、本籍地を何度も移している家ほど長くなります。

時間に余裕がない人や平日に役所へ行けない人は、費用をかけてでも司法書士に頼むほうが楽でしょう。

登録免許税の計算のしかたや手続きの全体は、法務省ホームページにまとめられています。
不動産を相続した方へ~相続登記・遺産分割を進めましょう~(法務省)

自分でそろえる必要書類

必要書類は多く見えますが、ほとんどは役所で取れるもので、特別な書類はあまりありません。

  • 親の出生から死亡までの戸籍
  • 親の住民票の除票
  • 相続人全員の今の戸籍
  • 家を受け継ぐ人の住民票
  • 遺産分割協議書と印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 登記申請書

遺産分割協議書は、誰が家を受け継ぐかを相続人全員で決めて、署名して実印を押す書類です。

ふみ

海外に住む相続人は印鑑証明書が取れないため、現地の日本大使館などでサイン証明を取ってもらいます。

私の姉2人も海外に住んでいるので、いずれ相続となればこの手続きが必要になるはずです。

遺言書がある場合や、法律で決まった割合で分ける場合は、そろえる書類が少し変わってきます。

迷ったときは集めはじめる前に法務局へ相談すると、書類の取り直しのむだを防げます。

戸籍集めは広域交付で楽になった

いちばん手間がかかるのは、亡くなった親が生まれてから亡くなるまでの戸籍をそろえる作業です。

本籍地を何度も移していると、以前は遠い役所へ1か所ずつ郵送で頼むしかありませんでした。

今は戸籍の広域交付という仕組みができ、最寄りの役所の窓口でまとめて請求できるようになりました。

ふみ

広域交付は窓口だけの受付で、顔写真つきの身分証が必要です。兄弟姉妹の戸籍は請求できません。

請求できるのは本人と配偶者、親や祖父母、子や孫までで、代理人に頼むことはできません。

戸籍がそろったら、法務局で法定相続情報一覧図を作ってもらうと、そのあとの手続きが楽です。

一覧図の写しは無料で交付され、銀行の手続きなどで戸籍の束の代わりに使えます。

広域交付と一覧図のくわしい条件は、それぞれ次のページで確かめられます。
戸籍法の一部を改正する法律について(法務省)
「法定相続情報証明制度」について(法務局)

法務局の無料相談を予約する

書類や申請書の書き方に迷ったら、法務局の登記手続案内という無料の相談を利用できます。

予約制なので、電話やインターネットから日時を決めて、窓口や電話で相談する仕組みです。

ふみ

相談できるのは手続きの進め方です。誰が家を受け継ぐべきかといった家族の判断は相談できません。

相談の時間には限りがあるので、集めた書類と聞きたいことをメモにまとめて持って行きましょう。

自分で作った申請書を見てもらえるのは、司法書士に頼まない人にとって大きな助けになります。

相談は家のある地域を受け持つ法務局で受けるので、遠方の実家なら電話での相談が便利です。

予約のしかたは法務局ごとに違うので、実家のある地域の法務局のホームページで確かめてください。
全国の法務局のホームページ一覧(法務局)

申請書を作って法務局に出す

申請書の様式と記入例は法務局のホームページにあり、自分のケースに近いものを選んで使えます。

相続登記の申請書の様式と記入例は、法務局のこちらのページからダウンロードできます。
不動産登記の申請書様式について(法務局)

提出先は家のある地域を受け持つ法務局で、窓口に持参するほか郵送やオンラインでの提出も可能です。

  • 戸籍などの書類を集める
  • 遺産分割協議書を作る
  • 法務局の相談で確かめる
  • 申請書を作って提出する
  • 完了後に書類を受け取る

申請書には家と土地の所在や地番を登記簿のとおりに書く必要があり、ここで間違えやすいのです。

登録免許税は申請書に収入印紙を貼って納めるので、金額を計算してから郵便局などで買います。

登記が終わると登記識別情報という書類を受け取れるので、家を売るときまで大切に保管してください。

実家売却を見据えて相続登記を自分でするときの注意点

実家売却を見据えて相続登記を自分でするときの注意点 名義が変わらないと実家は売れない 実家の玄関の鍵穴に差した鍵

相続登記の目的が実家の売却なら、登記の手続きだけを見ていると思わぬところで足が止まります。

ここでは売るつもりで登記を進める人に知っておいてほしい注意点を、4つに分けて書いています。

相続登記を済ませないと実家は売れない

名義が亡くなった親のままの家は、買い手が見つかっても買い手へ名義を移す登記ができません。

そのため実家の売却で相続登記を自分でするなら、引き渡しまでに登記を終える必要があります。

ふみ

家を何人かの共有名義にすると、売るときに全員の同意と署名が要ります。売る予定なら名義の決め方も相談を。

買い手に家を引き渡す日までに、相続した人の名義に変わっていることが売却の前提です。

登記の完了日が読めないうちは、買い手と引き渡しの日を決めるのは待ったほうが無難でしょう。

数世代前の名義が残る家はプロに頼む

登記簿を見たら、名義が親ではなく祖父や曽祖父のままだったというケースは珍しくありません。

数世代前の名義変更では、亡くなった人ごとに相続人が増え、何十人にもなることがあります。

ふみ

今の名義は、法務局で登記事項証明書を取れば分かります。窓口のほか、オンラインでも請求できます。

会ったこともない親戚全員から署名と実印をもらうのは、個人の力ではとても難しい作業です。

相続人の中に連絡のつかない人がいると、家庭裁判所での手続きが別に必要になることもあります。

名義が祖父母より前の代で止まっているなら、最初から司法書士に相談するのが近道です。

相続登記には申請の期限がある

相続登記は今では義務になっていて、相続を知った日から決められた期間内に申請が必要です。

正当な理由なく放っておくと、過料という罰を受ける可能性があるので甘く見ないほうがいいでしょう。

ふみ

期限に間に合いそうにないときは、相続人申告登記という簡単な届け出で義務を果たす方法もあります。

義務になる前に亡くなった親の家も対象になるので、古い相続ほど早めに確かめておきましょう。

売るかどうか決めかねていても、登記だけは期限までに済ませておくと後で慌てずに済みます。

期限や過料のくわしい内容は、法務省のこちらのページで確認できます。
相続登記の申請義務化について(法務省)

登記の準備と並行して売却査定を進める

実家を売るつもりなら、登記が終わるのを待たずに不動産会社へ査定を頼んでおくのがおすすめです。

査定は名義が親のままでも頼めるので、登記の準備と同時に進めれば売り出しまでが早まります。

私の実家は相続登記こそ要りませんでしたが、家を完全に空にしてから一括査定に登録しました。

ふみ

一括査定は1回の登録で複数の会社に頼めます。私の実家には地元に事務所がある3社が見に来ました。

そのうちの1社に仲介をお願いして売り出したところ、3か月ほどで買い手が決まりました。

登記と査定を同時に進めておけば、名義が変わったその月から売り出しに入れます。

名義が変わる時期の見通しは、査定に来た不動産会社にも早めに伝えておくと話が進めやすくなります。

親が元気なうちの実家売却なら相続登記は要らない

親が元気なうちの実家売却なら相続登記は要らない 市営住宅の窓辺に並んだ2つの湯のみ

ここまで相続登記の進め方を書いてきましたが、我が家はその手続きを一度もしていません。

ここでは親が生きているうちに実家の売却を済ませた我が家の場合を、3つに分けて書いています。

親が売り主になれば名義変更は要らない

実家の名義は父だったので、両親が元気なうちに父本人が売り主になって売ることができました。

名義人が生きていて自分で契約できれば、相続登記も遺産分割の話し合いも必要ありません。

親名義の家を売るときは、親本人の実印と印鑑証明書、権利証などを用意するのが一般的です。

ふみ

親が住所を移していると、登記簿の住所を今の住所に直す住所変更の登記が要る場合があります。

戸籍を何通も集める手間がまるごと要らないのは、親が元気なうちに売る大きな利点です。

認知症が進むと親でも家を売れなくなる

気をつけたいのは、親の判断する力が衰えると、親名義の家でも売買の契約ができなくなる点です。

その場合は家庭裁判所に成年後見人を選んでもらう必要があり、売るまでに時間がかかります。

ふみ

成年後見人がついても、親が住んでいた家を売るには家庭裁判所の許可が別に必要です。

主任ケアマネとして高齢の方の暮らしに関わるなかで、元気なうちの話し合いの大切さを感じてきました。

実家をどうするかは、親が自分で決められるうちに話し合っておくのがいちばんです。

家の名義が誰になっているかと権利証のありかを、親が元気なうちに確かめておくと安心でしょう。

親の希望を聞くところから始める

我が家の実家じまいは、不便な住宅街から便利な市営住宅に移りたいという母の希望から始まりました。

転居先の市営住宅は狭いので、両親には二人の暮らしに必要な物と量だけを選んでもらいました。

ふみ

持って行く物を親が自分で選べば、あとから「あれはどこにやったの」と聞かれることがありません。

持って行く物は両親に選んでもらい、残りは全部私が片付けると先に決めてから動き出しています。

親が自分で売ると決めた家だったので、実家の売却に親戚から反対の声は出ませんでした。

両親が実家じまいを決めたいきさつは、こちらの記事に書いています。
【実家じまい全記録】実家の片付けから売却まで9か月の体験談ブログ

相続登記を自分でするときによくある質問

相続登記は自分でもできますか?

相続登記は資格がなくても相続人が自分で申請でき、法務局も一般の人向けに案内をしています。

名義が親の代で止まっていて相続人が少なければ、自分で進められる人は多いはずです。

相続登記を自分でやると費用はいくらですか?

かかるのは登録免許税と戸籍などの取得代で、登録免許税は家と土地の評価額をもとに計算します。

司法書士の報酬がかからない分、専門家に頼む場合よりも費用をぐっと抑えられるはずです。

相続登記をしないとどうなりますか?

正当な理由なく期限までに申請しないと、過料という罰を受ける可能性があります。

また名義が亡くなった親のままでは、実家を売ることも担保に入れることもできません。

相続登記が終わる前に実家の査定を頼めますか?

査定は名義が亡くなった親のままでも頼めるので、登記の準備と並行して進められます。

売り出しや引き渡しは名義が変わってからになるので、その予定も査定のときに伝えましょう。

戸籍は本籍地の役所に行かないと取れませんか?

今は戸籍の広域交付ができるので、本籍地が遠くても最寄りの役所の窓口で請求できます。

ただし一部の古い戸籍は対象外なので、本籍地の役所へ郵送で頼む場合もあります。

相続登記は誰が申請するのですか?

遺産分割の話し合いで家を受け継ぐと決まった人が、自分の名前で申請するのが基本です。

遠方に住んでいても、郵送やオンラインを使えば相続登記を自分で済ませられます。

親が生きているうちに実家を売るなら相続登記は必要ですか?

親が元気で自分で契約できるなら、名義人である親が売り主になるので相続登記は要りません。

私の実家も両親が元気なうちに売ったので、相続の手続きをせずに家を手放せました。

まとめ:実家の相続登記は自分でできる!手順を押さえて売却へ

実家の相続登記は自分でできる 手順を押さえて売却へ まずは戸籍の請求と相談の予約から 夕方の坂道に建つ空になった実家

実家の相続登記は自分でもでき、司法書士の報酬の分だけ費用を抑えられると書いてきました。

戸籍集めに時間はかかりますが、広域交付と法務局の無料相談を使えば一人でも進められます。

費用を抑えて進められるのは、名義が親の代で止まっていて相続人が少ないという条件がそろう場合です。

相続登記を自分でするときの要点
  • 費用は税金と書類代だけ
  • 戸籍は最寄りの窓口で取れる
  • 迷ったら法務局に相談
  • 数世代前の名義はプロへ
  • 申請には期限がある
  • 査定は登記と同時に

相続登記を自分でやって浮いたお金は、実家の片付けや売却の準備にまわすことができます。

まずは最寄りの役所で親の戸籍を請求し、法務局の相談を予約するところから始めてください。

名義が数世代前で止まっているときは、無理をせず最初から司法書士に頼む判断も大切です。

実家を空にしてから売れるまでの流れは、こちらの記事に書いています。
【実家じまい全記録】実家の片付けから売却まで9か月の体験談ブログ

この記事を書いた人

関東在住の53歳。50歳のときに西日本の実家を9ヶ月かけて空にし、売却しました。3人姉妹の末っ子で姉2人は海外在住のため、ほぼ一人での実家じまいでした。介護職15年、ケアマネ14年目の主任介護支援専門員。仕事では何十件も立ち会ってきましたが、自分の親の家では何度も手が止まりました。

目次